結論、最初の1台を選ぶなら間違いなくProだ。ただし「歩きながら録る」移動の多い日に限っては、NotePinが圧倒的に強い。
2つの異なる会議環境(5人会議と3人会議)で、この2台を同時に回して検証した。机の上に置いたProと、右腕に巻いたNotePin。
同じアプリとAIエンジンを使っても、ハードウェアの差は残酷なほど文字起こしの結果に出た。

総文字数は互角でも話者分離の解像度が違う
まずは全体の数字を。
5人の会議と3人の会議でそれぞれ、Note ProとNote Pinの2つのデバイスを使って録音・文字起こしした結果を比較した。
結論から言うと、音声から文字に変換する「素の文字起こし能力」に大きな差はない。
問題は「誰が発言したか」を仕分ける解像度。
【比較】2機種の文字起こし結果
| 項目 | PLAUD NOTE Pro (机上・4マイク) | PLAUD NotePin (腕装着・2マイク) |
|---|---|---|
| 【5人会議】総文字数 | 約14,837字 | 約14,933字 |
| 【5人会議】捕捉話者数 | 5人全員(100%) | 3人のみ(60%) |
| 【5人会議】話者交代の検出 | 206回 | 123回 |
| 【3人会議】捕捉話者数 | 3人全員(100%) | 3人全員(100%) |
| 【3人会議】最も遠い人の文字数 | 677字 | 139字 |
5人会議:Pinは遠い席の2人を完全に見失う
5人が集まった約50分の会議。録音された総文字数はどちらも約1万4,000字台で、わずか0.6%しか差がなかった。
しかし、中身は別物だ。机上に置いたProが出席者5人全員を正確に分離したのに対し、腕に巻いたNotePinは3人しか認識できなかった。訪問先側の2人(CさんとDさん)の独立した発言ブロックが、Pin側ではゼロなのだ。
彼らが喋った約1,900字はどこへ消えたのか。データを見ると、すべて聞き手側である同僚(Aさん)のブロックに吸収され、同僚の発言として水増しされていた。
3人会議:話者数は揃っても発言捕捉量が激減する
では、人数が減ればPinでも正確に記録できるのか。「3人会議」のデータを見ると、新たな罠がある。
3人であれば、Pinでも3人全員を独立した話者として検出できた。しかし、マイクから最も遠い席に座っていたBさんの発言量を見ると、Proが677字拾えているのに対し、Pinは139字。捕捉量が約5分の1に激減している。
「話者数が揃う」ことと、「全員の発言を漏らさず拾える」ことは別問題だ。
4マイクと装着位置の差が性能の境界線を生む
なぜここまで残酷な差がつくのか。理由は、マイクの数と装着位置だろう。
物理的なマイク数と身体による遮蔽
Proは4基のマイクを備え、机の中央から全方位の音を立体的に捉える。誰がどの方角から喋っているかを細かく見分けられる。
一方のNotePinは2マイク構成で、かつ腕に密着している。右腕に巻けば、装着者である私の声が常に大音量で入力され、それがシステム側の「基準」になってしまう。他者の声は私の声の延長として粗く処理されやすく、装着者の身体の反対側にいる人は音の陰に隠れてしまうわけだ。
Pinのブロック数が多い理由は「過分割ノイズ」
もう一つ、数字の罠がある。3人会議において、全体のブロック数(発言の塊の数)はProの390個に対し、Pinは431個と多かった。これを見ると「Pinの方が細かく分離できているのでは」と錯覚しそうになる。
実態は逆だ。上記の通り、Pinは5文字以下の極短ブロックがProの約6倍も発生している。「で。」「はい」「ああ。」といった、呼吸の継ぎ目や相槌で発話を無理やり中断してしまい、意味の通らない断片が量産された結果の数字だ。
iPhoneの背面に収まるProが日常に残る
多人数会議における話者分離はProの完勝だったが、これは普段の運用実感とも一致し、1台目にProを推したい私を後押ししてくれる。
Proがスタメンに定着した最大の理由は、iPhoneと一緒に持ち歩ける一体感だ。仕事でも休日でも、スマホは常に手元にある。その背面にMagSafeでProが張り付く。この日常動線に収まっていることが、録音への心理的ハードルを下げてくれた。


スマホに付いているだけで、録音しようと思う回数が全然違うんだよな。
カバンの中を探る必要も、「今日は持ったっけ?」と確認する手間もない。バッテリー残量や録音状態が液晶画面で一目でわかる専用機ならではの安心感は、思いのほか大きい。
自分の声を最大化するPinは一人語りで化ける
ではNotePinの出番はないのかといえば、そうではない。

録音者の声の捕捉量はPinが約16%上回る
多人数会議では弱点となった「自分の声が基準化する」性質は、自分が主役の録音では「自分の声を最もクリアに拾う」という強力な長所に変わる。
実際、3人会議のデータを見ると、録音者である私自身の発言量に限っては、Proの1万3,451字に対し、Pinは1万5,691字と約16.7%も多く拾えていた。声の小さい部分や細かい言い回しまで、Pinは逃さない。

移動中、会議の振り返りや次のタスクが頭をよぎったとき、スマホを取り出してフリック入力するのは億劫だ。
このとき、腕に巻いたNotePinのボタンを押すだけで口述メモを残せる機動力は、予想以上に快適だった。
固有名詞は人手で直す
どちらの機種を使うにしても、避けて通れない弱点がある。今回の検証でも、固有名詞や数値の誤認が多発した。
実例として、カタカナ語の社名をProは正確に拾ったが、NotePinは全く違う単語に誤認した。
マイクから遠い人が発した固有名詞ほど、Pinは崩れやすい。
固有名詞や数値こそ最優先で人間がチェックすべきだ。
最初の1台はPro。動く動線があるならPin
録音するだけならApple Watchでも可能だ。
ただ、長時間の会議やインタビューを任せる場合、少し古いApple Watchなどではバッテリー消費が気になって精神衛生上良くない。
なので専用機を使うことになるが、専用機と一口に言っても、NoteProとPinでは特性が違うことが分かった。
| Pro | Pin | |
| 3人以上の会議の議事録 | ◎ | ✕ |
| 1対1の対面ミーティング | ◎ | ◯ |
| 自分の発言の振り返り・口述メモ | ◯ | ◎ |
| 立ち話・現場録音 | △ | ◎ |
2台を使い分けた結果、最初の1台を買うなら迷わずPLAUD NOTE Proと結論づける。iPhoneと一体化でき、机に置けば全員の声を識別できる汎用性は、明確に日々の助けになる。
一方のNotePinは、出張が多い、歩きながら思考を整理したいなど、明確に「動く場面」を持つ人向けの特化機だ。自分の生活スタイルと照らし合わせて、しっくりくる方を選んでほしい。